昨年(2023年)10月以降のIPO案件には公開価格の設定プロセスが変更され、IPO新ルールとして公開価格は仮条件の下限の80%以上かつ上限の120%以下の範囲内での値付けが可能となりました。

公開価格が変更される可能性のある場合は、仮条件決定時の訂正目論見書に注記されていることが条件となっているため、これまでも当ブログトップページの「IPO(新規上場)スケジュール」内で仮条件決定後にで上限突破のあるなしを区別して記載しています。

そしてこの新ルールが適用されたIPO銘柄はこれまで9社あり、この9社について少し調べてみましたので、ひとまず下記9社の初値結果及び騰落率をご参照下さい。

IPO新ルールの仮条件上限突破銘柄は9社!銘柄ごとの特性はあるのか!?

IPO新ルールの仮条件上限突破銘柄は9社

IPO銘柄仮条件公開価格初値価格騰落率
ブルーイノベーション1,220円~1,320円1,584円2,023円27.7%
雨風太陽840円~870円1,044円1,320円26.4%
ロココ900円~940円1,128円1,100円-2.5%
ヒューマンテクノロジーズ940円~1,020円1,224円1,194円-2.5%
L is B920円~990円1,188円1,553円30.7%
JSH350円~380円456円893円95.8%
ハッチ・ワーク1,680円~1,800円2,160円2,815円30.3%
シンカ1,050円~1,100円1,320円1,671円26.6%
Will Smart1,320円~1,380円1,656円1,580円-4.6%

勝率で見ると9戦6勝3敗と勝ち越してはいるものの、やはり利益の先取りと捉えられることが多く、JSH(150A)のような低位株を除くと、おおむね30%前後の上昇が上限突破銘柄の初値セオリーとなっているような雰囲気です。

これまでIPO新ルールではなく、普通に仮条件が想定価格よりも上ブレで設定されたり、募集株式が増加した場合などは「呼び水効果」として初値上昇に拍車をかけていましたが、さすがにこのIPO新ルールの上限突破は投資家からするとやり過ぎ感があるのでしょうか、今のところ初値抑制には繋がっているものの、初値上昇に対しての恩恵はありません。

そして仮条件は強気設定ではなかった割に公開価格は上限突破となったことや、訂正目論見書の上限突破理由が「機関投資家等からの需要が多く」のパターンと「機関投資家等からの需要が集中」のパターンの2通りあるということも気になったので、これらに何かしら法則性のようなものが無いかと、それぞれ訂正目論見書を見直してみました。

ブルーイノベーション(5597) 2023年12月12日上場

想定価格1,300円に対して仮条件は1,220円~1,320円とほぼ一般的な設定。

訂正目論見書には「仮条件の上限を上回る価格にも機関投資家等からの需要が多く申告されたこと」との記載あり。

雨風太陽(5616) 2023年12月18日上場

想定価格840円に対して仮条件は840円~870円と強気な設定。

訂正目論見書には「仮条件の上限価格の120%の価格である1,044円に機関投資家等からの需要が集中していたこと」との記載あり。

ロココ(5868) 2023年12月20日上場

想定価格710円に対して仮条件は900円~940円と超強気な設定。

訂正目論見書には「仮条件の上限を上回る価格にも機関投資家等からの需要が多く申告されたこと」との記載あり。

ヒューマンテクノロジーズ(5621) 2023年12月22日上場

想定価格940円に対して仮条件は940円~1,020円と強気な設定。

訂正目論見書には「仮条件の上限を上回る価格にも機関投資家等からの需要が多く申告されたこと」との記載あり。

L is B(145A) 2024年3月26日上場

想定価格920円に対して仮条件は920円~990円と強気な設定。

訂正目論見書には「仮条件の上限を上回る価格にも機関投資家等からの需要が多く申告されたこと」との記載あり。

JSH(150A) 2024年3月26日上場

想定価格380円に対して仮条件は350円~380円と一般的な設定。

訂正目論見書には「仮条件の上限を上回る価格にも機関投資家等からの需要が多く申告されたこと」との記載あり。

ハッチ・ワーク(148A) 2024年3月26日上場

想定価格1,680円に対して仮条件は1,680円~1,800円と強気な設定。

訂正目論見書には「仮条件の上限価格の120%の価格である2,160円に機関投資家等からの需要が集中」との記載あり。

シンカ(149A) 2024年3月27日上場

想定価格1,050円に対して仮条件は1,050円~1,100円と強気な設定。

訂正目論見書には「仮条件の上限価格の120%の価格である1,320円に機関投資家等からの需要が集中」との記載あり。

Will Smart(175A) 2024年4月16日上場

想定価格1,380円に対して仮条件は1,320円~1,380円と一般的な設定。

訂正目論見書には「仮条件の上限価格の120%の価格である1,656円に機関投資家等からの需要が集中」との記載あり。

上記をまとめますと以下の通りとなります。

●仮条件が一般的な設定で公開価格が上限突破となった銘柄
・ブルーイノベーション(5597):初値27.7%上昇
・JSH(150A):初値95.8%上昇
・Will Smart(175A):公募割れ

●仮条件が強気な設定で公開価格が上限突破となった銘柄
・雨風太陽(5616):初値26.4%上昇
・ロココ(5868):公募割れ
・ヒューマンテクノロジーズ(5621):公募割れ
・L is B(145A):初値30.7%上昇
・ハッチ・ワーク(148A):初値30.3%上昇
・シンカ(149A):初値26.6%上昇

●訂正目論見書内の注記が「機関投資家等からの需要が多く」の銘柄
・ブルーイノベーション(5597):初値27.7%上昇
・ロココ(5868):公募割れ
・ヒューマンテクノロジーズ(5621):公募割れ
・L is B(145A):初値30.7%上昇
・JSH(150A):初値95.8%上昇

●訂正目論見書内の注記が「機関投資家等からの需要が集中」の銘柄
・雨風太陽(5616):初値26.4%上昇
・ハッチ・ワーク(148A):初値30.3%上昇
・シンカ(149A):初値26.6%上昇
・Will Smart(175A):公募割れ

まだ実例が少ないというのもありますが、てっきり仮条件が「強気設定」で訂正目論見書内の注記が「機関投資家等からの需要が集中」の場合は公募割れする可能性が低くなるのではないかと思っていましたが、残念ながら上記を見る限りでは、法則性のようなものは見つかりませんでした。単なる管理人の思い込みだったようです。ただ今後、実例が増えるともう少し検証してみる価値はあるかもしれません。

いずれにしても今のところこの上限突破は初値が上昇しにくいという作用が出ています。この新ルールが本当に必要なルール改正だったのかどうかはわかりませんが、少なくともお上の狙い通りにはなっているでしょうか。IPO地合いが良くなってこの新ルールに負けない上限突破の初値高騰案件の登場に期待したいところです。

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