移住者を受け入れる自治体の思惑、無償奉仕の文化、移住に必要な覚悟

「将来は田舎に住んでのんびりしたいナ・・」ご多分に漏れず、Tochiもこんな事をたまに妄想します。一方で、色々な田舎移住系Youtubeなどを見ていると、人間関係が濃密すぎて大変だとか、ゴミ捨て場を使わせてもらえなかった、などという話もちらほらあり、当然のことながらメリットだけではなく相応のデメリットもあるようです。

そこで、若い時から全国を中長期で移住してきた「ベテランイジュラー」である清泉亮さんの著書、 <PR>「誰も教えてくれない田舎暮らしの教科書(2018)」を読んでみました。

例によって個人的に気になった部分をまとめます。

 

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 移住者を受け入れる自治体側の思惑 

都会に疲れた移住者に人気なのは、どうしても市街地ではなく、空気がいい、風光明媚で人も少ない、そんな山間部の過疎地になる。しかし、そうした地方の自治体が移住者に期待するのは、決して人口増ではなく、村への見入り、つまり税収増への期待なのだ。だがその期待の一方で、年金生活者や就農希望者など、地方に来る人たちは大きな納税余力を持っていないという現実がある。そこに、地方の苛立ちが見える。

期待はずれなのは、もちろん自治体だけではない。移住者にとっても、田舎暮らしは金がかかるのだ。都会の何倍もの国民健康保険料や介護保険料に加えて、住民税も高い。

 

 集落における無償奉仕の文化 

群馬県のある山村に住居を構えた、その世界では高名な大学教授は、もう慣れたとは言いながら苦笑しきりだ。

「とにかく無償奉仕の仕事ばかりがやたら多いのが地方で、それを無視すると暮らしていけない」

移住先ではとことん、労力と役務の無償提供が求められると思った方がいい。それに異を唱えたところで始まらない。圧倒的多数がそうした伝統と習慣を維持しているので、嫌ならば出ていけば、ということになる。そもそも俺たちは別にあんたに来てくれと言ってるわけじゃないんだからと、歯に衣着せぬ露骨な物言いで迫られるのがオチだ。

退職後の第二の人生を海辺や山間でゆっくり家庭菜園でもしながら自分のペースで、などと思う方が多いが、それは極めて非現実的な夢になりうることを、あらかじめ覚悟しなければならない。

 

 別荘地という選択 

田舎暮らしといえばお隣さんのある地元集落に、と思い込んではいないだろうか。かくいう私自身もそう考えていた。濃密な人間関係の中で笑顔を交わし合い、日々の健康を、変化を喜び合う日々が訪れるものと。

しかし、そんな日々とは無縁のきつい上下関係、無償での役務提供、強烈な年功序列意識・・・。どれをとっても、都会育ちの人にとっては、まるでこれは戦中の軍国主義、隣組そのものとさえ思え、打ちのめされることばかり。

だが今更都会生活に戻る気にはならない。戻りたくない、と思える移住者は絶望することはない。別荘地移住という選択肢がある。適度な濃さの人影と、決してプライベートには立ち入りすぎない適度な距離感が保たれ、これまでの人生で培った価値観を保ちながら快適な田舎暮らしができる方法、それが別荘地移住である。人情の厚さと称する過干渉や日常への過剰介入に見舞われることがないのが、別荘地の最大の特徴。そして、移住先にそれを求めるのならば、別荘地は最高の移住候補地となる。実際、集落では身が持たず、別荘地へ転住という流れも増加しているのだ。

 

 地方移住に必要な覚悟 

よくよく覚悟した方がいい。

移住は不都合と不条理の宝庫である。自分が想定するメリットよりもデメリットが必ず上回るのが都会に対する地方であり、田舎である。

 

そこへの了解がないままに都会の資産を全て投げ打っての田舎暮らしは、それはまさに土地を開拓するに等しい苦労に他ならない。

 

 お勧め居住地ランキング 

本ランキングは定住ランキングであり、移住者獲得のコンサル事業が行っているような形式的なものではなく、移住先に全く縁のない完全新規移住者を念頭に置いた、実質的な対効果という点での評価を念頭に置いたものだ。

 

 

 

 

 

 Tochiの勝手な感想 

一般社会のルールすらロクに守れずFIREしてしまったTochiとしては、田舎の実態がもしこんなにも面倒くさそうであるならば、絶対に移住したいとは思えません(笑)

ただまあ、この本の面白おかしい書きっぷりから察するに、かなりオーバーだったり極端なものばかりを取り上げているんじゃないかな、実際はこういう場所も中にはあるだろうけど、そうじゃない場所だって結構あるんじゃないかなぁ・・という気もします(願い)。

 

その一方で、田舎の暮らしが本当に素晴らしいのであれば、仕事があるという理由で若者の多くが都会に出てくのは仕方ないにしても、そのまま戻らずに人口が激減する様なことは起きない気がします。また、移住者を募る地方自治体の思惑が、実はお金の為であるという点にはハッとさせられました。

 

田舎には田舎になった、もしくは田舎のままであるそれなりの理由がある。

当然かも知れませんが、地方移住の理想と現実は大きく違うということなのでしょう。

 

それでも田舎に住むのであれば、管理費がウザイけど著者の言うように別荘地の方がいいのかも。ただ、今後は買っちゃうと売れなくなる可能性が高いから賃貸を選ぶべきか。。

なーんか、夢の無い話だなぁ 😐 

コメント

  1. ふなむし より:

    田舎でも都会でも一軒家を構えれば近所づきあいや町内会など地域コミュニティへの参加は必須になると思います。
    そして田舎になるほど人も少なく行政サービスも貧弱ですから、無償奉仕も多くなります。
    問題は地域コミュニティと移住者の意識のズレですが、これは小さい子供がいて地域とガッツリ関わるような移住者ではなく、田舎に幻想を抱いた中高年の移住者が多い事が原因じゃないかと思います。

    ちょっと前に「都会風を吹かすな。コミュニティに参加しろ」と言うのが話題になった時、ネットで叩いている人が多かったですが、あれはわざわざアパートも無いような田舎の集落なんかに一軒家を買った移住者が、いきなり地域のしきたりを否定したり、草刈りや雪かきに参加しないくせに綺麗になった道は通るからで、ちょっとネット民は誤解していると思いました。
    地方でも都市部の賃貸暮らしなら、そういう事はありません。

    今後、人や労働力はどんどん減り、行政サービスやインフラにかけられる税金も減る訳ですから、私はド田舎に幻想を抱かせるような事をやめ、都市部に行政サービスを限定してコンパクトシティを進めるべきと思っているのですが、そういう自治体は皆無でしょうね・・・

    • Tochi より:

      >ド田舎に幻想を抱かせるような事をやめ、都市部に行政サービスを限定してコンパクトシティを進めるべき

      確かに。
      日本は長らく変化を否定し続けてきたので、逆に考えれば変化を受け入れれば良くなる余地がまだまだ沢山あるとも言えそうですが、なんだか全然変えそうにもありませんよね(笑)

      せめて農林水産業の大規模集約化だけでも進めれば生き残る田舎が増えそうな気がします。
      というか、仮にそれをしない場合、現状のような個人事業主が主体の極めて非効率的なままでは誰も引き継がず、新規参入も望めそうにありません。
      田舎はその方がマシだと考えている人が多いのかも知れませんが、その場合、未来の日本の食料は一体誰が作ってくれるのでしょうね。。