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投資の基本

長期投資(株・投資信託)の保有期間は何年が目安?売却すべきタイミングについて

この記事ではこのような疑問にお答えします。

  • 「長期投資をするときは、どれくらい長く持ち続けるべきなのだろうか?」
  • 「長期保有のつもりで買ったけど、数ヶ月で大きく値下がりしてしまった。このまま株を保有し続けていいのか迷っている。」
長期投資するのはよいことであり、短期間で売るのはよくないことであるというイメージはありませんか?長期投資のつもりで買った株をたった数ヶ月しか経っていないのに売却してしまうことに対して、抵抗感を感じる方は多いと思います。

しかし、本当に株を長期間保有するだけでよいのでしょうか?長期間保有することにこだわりすぎて含み損が拡大した経験はないでしょうか?

実は長期投資はイメージが先行しすぎており、運用成績がよくないときに「現状維持するための言い訳」のように使われている感があります。

しかし、本来の長期投資は投資期間を制限するようなものではありません。長期投資の考え方を理解すると、無駄な失敗を減らすことができて運用成績が向上します。

本記事では「長期投資の保有期間に対する考え方」について紹介します。

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長期投資の年数は3年、5年、10年、20年、30年?

資産運用をするなら長期投資が良いといわれますが、「その期間は?」と問うと、人によっていうことは様々です。その目安として以下に典型例を挙げます。

銀行などでは3〜5年が多い

銀行員などが投資信託を販売する現場では長期投資の目安として3~5年程度ということが多いようです。ある程度近い未来に利益が出ているイメージですから、販売しやすいのだと思います。

一方、投資してから1年後くらいに値下がりしている場合に「長期投資なので短期間の値動きを気にしてはいけません」といわれた場合は注意が必要です。それは、「長期投資していればいずれは利益が出る」という一般的な認識を利用して言い訳をしているだけかもしれません。

本当に保有を続けていいのかは自分で調べて、判断する必要があります。

国債からの類推で10年と考える人もいる

株式と並んで資産運用の定番である国債の世界では、償還期間(投資した債券の元本が返ってくるまでの期間)により次のように分類されています。

  • 短期国債:1年以内のもの
  • 中期国債:1年を超え、5年以内のもの
  • 長期国債:5年を超え、10年以内のもの
  • 超長期国債:10年を超えるもの

単に長期国債というと通常は償還期間が10年のものを指すことが多いようです。株式についても長期の目安として10年という人もいます。

20年、30年以上が長期投資という投資家もいる

中には20年、30年以上でないと長期投資とはいえないという個人投資家もいます。

実際、長期投資で世界的な大富豪となったウォーレン・バフェットは、1987年にコカ・コーラ株に投資したのち、30年以上保有し続けているという例があります。

また、「タマゴボーロ」で有名な竹田製菓の竹田和平氏も長期投資家として有名であり、基本的に買った株は手放さなかったといいます。

長期投資は一般的に数年単位といわれている

以上のように、「長期」の定義は人によって様々です。投資スタンスは人それぞれですから、いろいろな考えがあって当然です。とはいえ、少なくとも長期投資は一般的に数年以上の単位であることは間違いないです。

株式の長期投資では保有期間にこだわるべきか?

一方、優良銘柄を見つけて長期投資したのち、予想に反して数か月で値下がりしてしまったとします。この場合、あなたはどうしますか?

「長期投資のつもりで買ったのだからもう少し様子を見る」という方が多いのではないでしょうか?

実際に投資してみるとこのような場面はよくあります。このようなとき、長期投資したのだから数か月で売却するのは気が引けると感じてしまいがちです。この場合、どう行動すべきでしょうか?

私の考えですが、長期投資のつもりであっても数か月で売却したほうがよい場合もあると考えています。つまり、長期投資だからといって、数年単位で持つという考えにこだわらないほうが良いと思います。

なぜならば、投資した時点(過去)と現在の投資判断が異なっている場合があるからです。

売却すべきタイミング

では、どんな場合に売却すべきでしょうか?たとえば、以下の場合です。

  • 強力な競合企業が現れて、投資先企業の競争力が失われた
  • 市況が変わって、商品の需要が低下した
  • 新たな情報を知り、企業の競争力に対する投資判断がそもそも間違っていたことに気づいた

このような場合は、たとえ長期投資のつもりで投資していても、迷うことなく売却したほうがよいことが多いです。

・保有し続けて失敗した例
イメージしやすいように、私が投資して失敗した例で説明します。

私は2017年6月に鶏肉生産で国内大手のアクシーズに投資しました。ケンタッキーなどにも鶏肉を卸している会社であり、飼料製造から加工まで一貫した生産を行っています。

大型の肥育施設が稼働して、業績が上向いてきたにも関わらず、株価が割安であった点に着目して1株3500円で投資しました。

その後は予想通りに株価が上昇し、日本ハムとの提携が発表されたときには一時的に1株6000円を超えたときもありました。

しかし、2018年4月以降の株価をみると、急速に値下がりしていることがわかります。

アクシーズの株価チャート2

アクシーズの株価チャート

原因は鶏肉の相場が安くなってしまい、売上・利益が伸び悩んだからです。もともと2017年に株価が上昇していた理由は大型の肥育施設の稼働という理由だけでなく、鶏肉価格が上昇していたという理由がありました。2018年4月以降に、その逆回転が起きてしまったのです。

値下がり基調になっていたことには気づいていましたが、大型の肥育施設の稼働による生産効率改善という良い点もあったため、当初はいずれ回復するはずと考えて保有を続けていました。

しかし、予想以上に鶏肉価格の低迷の影響が強くて株価下落の勢いが強いため、私は途中で諦めて1株3600円くらいで売却しました。

以下が取引履歴です。

アクシーズの売買履歴

アクシーズの売買履歴

約35万円で買って、配当を2回(4500円と7500円)受け取ったのち、1年後に約36万円で売却しました。1年間の保有で約+6.4%の利益に終わり、何とかプラスにはなりましたが、残念な結果です。

もともとは今後の成長を期待して長期投資のつもりでいましたが、鶏肉価格という外的要因に左右されやすい業種であった点が判断ミスだったと思います。長期投資としては失敗でしたが、売却後も株価の下落が続きましたので、損失になる前に決断できたことがせめてもの救いです。

このように長期投資のつもりで投資しても見込み違いに終わることはあります。必要なときには売却するつもりでいるほうが損失の可能性を減らせます。

保有し続けるほうがよい場合

逆に、以下のような理由で一時的に安くなった場合は保有を続けても大丈夫です。

  • 突発的な天災(地震など)が起きて直接的な被害はないのに、一時的に株価が安くなった
  • 国内需要が中心の企業なのに、海外のニュースや円高などで他企業と一緒に株価が安くなった

企業の競争力とは関係ない理由で安くなった場合は、むしろ買い増しのチャンスです。バーゲンセールされていると思って買っておくことをおすすめします。

著名な長期投資家の考え方

実際、長期投資を推奨している著名な投資家も、投資判断が変わった場合には期間に関わらず売却しています。以下に長期投資で有名な3人の投資家の例を示します。

世界一の長期投資家、ウォーレン・バフェットの考え方

世界一の投資家と称賛されていて、長期投資家として有名なウォーレン・バフェットは、「カトリック教徒の結婚のように、一生添い遂げるつもりで投資をしなさい」と言います。

実際、バフェットは1987年に投資したコカ・コーラ株を30年以上保有し続けていることは有名です。ほかにもクレジットカード大手のアメリカン・エキスプレス(通称アメックス)や米銀大手のウェルズ・ファーゴにも何十年前から投資し続けています。

一方、バフェットは見込みが外れたと悟ったときには果敢に売却しています。

例えば、バフェットは2011年にIBM株に投資し始めて、一時は保有資産の8%以上(135億ドル相当)を占めていました。しかし、IBMの業績が低迷し、「IBMへの投資は誤りだった」と認めたバフェットは2017年から売り始め、2018年3月までにすべて売却し終えています。

バフェットほどの銘柄選別眼で選び抜いた銘柄でも失敗することはあります。ましてや、私たち個人投資家の判断が間違っていることはよくあることです。

長期投資のつもりであっても必要な時には売却するという方針でいるほうがよいです。

さわかみ投信の澤上篤人取締役会長の考え方

また、さわかみ投信を設立し、日本における長期投資のパイオニアともいわれる澤上篤人取締役会長は、以下のように語っています。

長期投資だから「途中で売ってはいけない、ずっと長期保有しなければ」と、固く信じている人が意外と多い。

それは誤解である。長期投資とはいうものの、値上がりしてきたらいつ売っても構わない。買って2カ月後であっても、堂々と売って投資収益を確保していい。

大事なのは、「長期のスタンスで投資するのだから、3年でも5年でも、平気で待ち続けてやるぞ」と腹がすわっていることだ。

引用:長期投資で銘柄を保有する期間は実際どれくらいなのか?(幻冬舎 GOLD ONLINE)

澤上氏も長期投資だからといって、期間にこだわらずに収益を確保できるならば短期間で売ったほうが良いという考え方です。

セゾン投信の中野晴啓社長の考え方

さらに、セゾン投信を設立し、日本の長期投資業界をリードする一人である、中野晴啓社長も以下のように語っています。

個別株投資でも、長期投資だから持ちっ放しにするのが正しいと思っている人がいる。しかし、それも長期投資に対する誤解だ。株価が妥当な価格を大きく上回ったら、そこでいったん売却して利益を確保する。それは、長期投資を標榜する投資信託の運用担当者であっても、常に行っている。

(中略)

ビジネスモデルが大きく変わった銘柄は、そもそも最初に投資した時の前提が崩れているのだから、長期投資といってもいったん、ポートフォリオから外すのが常識だ。

引用:「長期投資」とは、いったい何年のことなのか(東洋経済ONLINE)

中野社長もビジネスモデルが大きく変わって、投資したときと前提が変わったら見直すべきだと言っています。保有期間にこだわるよりも現状に即して投資判断すべきであることがわかります。

長期投資は投資を始める際のスタンスと考えるとよい

では、長期投資とはそもそも何なのかと考えると、「長期投資は何年間投資したという結果を表すものではなく、投資を始める際のスタンス」を表している言葉だと考えておくといいです。

つまり業績が良い限り、長く保有するつもりで投資するけれども、もくろみが外れたり、最初から間違っていたりする場合には保有期間数ヶ月であっても売却するべきということです。

現状の投資判断に即して柔軟に対応するという方針でいるほうが、結果的に長期投資で成功できます。

投資の基礎知識についてのおすすめ記事はこちら:
株・投資信託の初心者におすすめな長期投資戦略のまとめ。損しないための始め方
長期投資を始めたいというあなたへ。当記事では「投資初心者が知っておくとよい投資の基礎知識と投資戦略、投資初心者におすすめな証券会社」についてまとめました。これを読めば長期投資に必要な考え方がわかります。どうぞご覧ください。

まとめ

本記事では長期投資における投資期間について紹介しました。数か月で売却してはいけないと考えると損失を拡大させる原因になってしまいますが、現状に即して判断すればよいとわかれば長期投資がより現実的に感じられるのではないでしょうか?

上記でも書きましたが、どれだけ投資の勉強をして銘柄分析を繰り返しても、投資判断を間違えることはあります。長期投資家として世界中から尊敬されているウォーレン・バフェットですら失敗することはあるのですから当然のことです。

しかし、投資を続けて、時には失敗経験もしていくと、だんだん銘柄分析力が磨かれ、大失敗はしなくなります。経験を武器として、次はもっといい投資ができるようになります。

長期投資で成功したいと思う方は、まずは少額でリスクが小さい状態から始めて、徐々に投資判断を磨いていくことがおすすめです。

少額から投資したいなら、単元未満株を使うのもおすすめです。単元未満株なら1株から売買できますので、通常の単元株取引(100株単位)よりぐっと投資しやすくなります。

私の場合、SBIネオモバイル証券を使って、1~3株くらいずつ定期的に積立投資しています。SBIネオモバイル証券を使えば、格安な手数料で1株ずつ売買できるので、リスク小さく始められて便利です。

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