新型コロナウィルス感染症の世界的な拡大でスポーツイベントが相次いで中止や延期に追い込まれている。競馬界も例外ではなく、3月28日に予定されていた世界最高峰のレースの一つであるドバイワールドカップが中止となり、さらには最もコロナの影響を受けているヨーロッパでは4月4日にイギリス最大のビッグイベント「グランドナショナル」も当初は無観客での開催を模索していたが、残念ながら中止に追い込まれる事態となった。

そういう世界情勢の中で日本国内の競馬レースはまだ平和なのかもしれない。競馬場には人影は見られないものの馬たちは元気に駆け回っている。29日午後3時40分に発走する国内G1レース第2戦「高松宮記念2020」（1200㍍・芝）が中京競馬場で行われる。

上記写真は、中京競馬場で行われているレース前のパドックの様子だ。いつもは人垣が見えるパドック周辺には誰もいない。厩務員に連れられた馬たちが虚しくサークルを回っている様子が伺える。それでも、レースができるだけでも世界情勢を見渡せばベターと考えなければならない。

競馬ファンはどこにいったのか？

インターネット上に隠れているのだ。一つは、JRAの馬券をネット上で購入できるA-PADだ。この会員がコロナウィルスの影響を受けて激増しているという。競馬場で馬券を購入していたファンたちは、その手段を使って競馬に参加することは理解できる行動だ。

2月29日の「即PAT」加入者は1万4763人となり、前年同時期（19年2月23日）の2984人から約4.95倍となった。また、前回集計された2月27日の加入者数は1722人で、こちらも前年比約3.8倍の増加だった。（netkeiba.comより引用）

そして、もう一つは海外のブックメーカーだ。こちらもオンラインからスポーツベッティングに参加できて、日本の競馬（主にG1レース）の馬券を購入することが可能だ。無観客開催を受けてこちらの登録も増える可能性は十分にあるだろう。今週末のJRAで開催されるレースについてもその例外ではない。

イギリスの老舗ブックメーカー「ウィリアムヒル」は、29日に行われる高松宮記念2020の単勝オッズをJRAよりも早く発表した。このオッズによるとダノンスマッシュが3.25倍で1番人気に推されている（25日午後1時現在）。下記オッズ表をクリックすると、最新のオッズが確認できる。

悲願のG1初制覇を狙うダノンスマッシュは川田将雅騎手と再びコンビを組んで必勝を期す。前走の夕刊フジオーシャンS（G3、1200㍍・芝）では川田騎手とのコンビで重賞（すべてG3）4勝目を挙げており、万全の態勢でG1レース勝利馬入りなるか。

【高松宮記念2020オッズ】
1-1 ステルヴィオ(牡5、丸山元気・木村哲也)
1-2 アウィルアウェイ(牝4、松山弘平・高野友和)
2-3 ダイアトニック(牡5、北村友一・安田隆行)
2-4 ティーハーフ(牡10、国分優作・西浦勝一)
3-5 ラブカンプー(牝5、酒井学・森田直行)
3-6 ダノンスマッシュ(牡5、川田将雅・安田隆行)
4-7 グルーヴィット(牡4、岩田康誠・松永幹夫)
4-8 グランアレグリア(牝4、池添謙一・藤沢和雄)
5-9 タワーオブロンドン(牡5、福永祐一・藤沢和雄)
5-10 アイラブテーラー(牝4、武豊・河内洋)
6-11 クリノガウディー(牡4、和田竜二・藤沢則雄)
6-12 セイウンコウセイ(牡7、幸英明・上原博之)
7-13 ダイメイプリンセス(牝7、秋山真一郎・森田直行)
7-14 モズアスコット(牡6、M.デムーロ・矢作芳人)
7-15 ナックビーナス(牝7、田辺裕信・杉浦宏昭)
8-16 モズスーパーフレア(牝5、松若風馬・音無秀孝)
8-17 シヴァージ(牡5、藤岡佑介・野中賢二)
8-18 ノームコア(牝5、横山典弘・萩原清)
※28日更新

その最大のライバルとなりそうなのが、昨年のスプリンターズS（G1、1200㍍・芝）を制したタワーオブロンドン（オッズ＝4.00倍）。ダノンスマッシュにはスプリンターズSで勝利しているものの、前走の夕刊フジオーシャンSでは後塵を拝している。コンビを組んでいたルメール騎手から福永祐一騎手への乗り替わりがどう影響するか。

また、人気上位の中で最も怖い存在がグランアレグリア（オッズ＝5.00倍）だろう。昨年の桜花賞（G1、1600㍍・芝）の勝ち馬でマイル戦ではその強さを証明した。しかし、1200㍍のレースは高松宮記念が初レースとなるため、スプリンターとしてどれほどの力があるのかは未知数な部分がある。

ダノンスマッシュ、タワーオブロンドン、そしてグランアレグリアの3強が今年の高松宮記念の軸となりそうだ。