日本政府が破綻せずに済むさもありな解決策。インフレターゲットの妙

最近、日本政府の財政破綻の話題がTochiの中だけでホットです 🔥

過去にも検証し、現在は全く問題ないものの今後国際収支が赤字化し、シルバー民主主義化で社会保障制度の抜本改革が望めない中で国債発行残高が急上昇することで今後20~30年後には破綻もあり得るのではないかと予想しました。

国の借金1103兆円!財政破綻はいつ起こるのか?

 

しかしどうやらそれは間違っていたようです。

 

スポンサーリンク

 破綻=国債のデフォルトは起こり得ない 

「いくら国債を刷っても何の問題もないんだ!」的なMMT理論はどう考えてもそんな訳がないので大嫌いでしたが、納得できる部分もありました。それは政府は国債を好きなだけ発行できるので、日本円での返済に窮すること(返済が出来なくなる=デフォルト)はあり得ないという点です。

 

「国債が増えたら多額の利払いに困る」という意見もありますが、現在、国債発行残高の40%以上を日銀が引き取っています。この場合、実質利払いの必要がないので今後国債発行が増え、この比率が上がって行ってもその点に関しては特に問題がありません。

 

しかし借金の返済を借金で済ますという手法は多重債務者やポンジスキームの破綻を連想させます。それでも日本政府は好きなだけ国債を刷れる(日本円をゲットできる)ので、破綻はあり得ません。

では一体何が起こるのでしょうか?

 

参考)中野剛志さんに「MMTっておかしくないですか?」と聞いてみた

中野剛志さんに「MMTっておかしくないですか?」と聞いてみた

 

 今も起きていること 

消費税による長期のデフレから脱するため、安倍政権以降、量的金融緩和が始まりました(アベノミクス、2012年~)。日銀が国債を買い入れ、マネタリーベース(資金供給量)は2010年から10年間で5倍に増えました。

 

 

https://greenapple-investment.com/monetarybase-doesnt-impact-on-inflation.html

 

 

その結果、物価は2~10%程度上昇し、見事デフレから脱却しつつあります(下図)。拡張CPIは実感に即して項目ごとにウエイト付けしたCPI(消費者物価指数)。

 

https://toyokeizai.net/articles/-/411745?

 

ではその間、日本はどの程度成長(実質GDPの増加)したのでしょうか?

 

 

 

実質GDPは2010年からの10年で+3.4%と、非常に低いながらも成長していることがわかります。それよりも顕著なのが、2013年頃を堺にGDPデフレーターが反転上昇(デフレが改善してインフレへ移行)したことです。一方で成長率の伸び自体が大きくなった訳ではないことがわかります。

よって、お金の総量を増やした結果、物価が高くなる様になったけれど成長率は変わっていない、つまりアベノミクスによって国民はむしろ貧しくなったことがわかります。もしくは、インフレなのにゼロ金利ということは実質金利はマイナス、つまりお金の価値が毎年インフレした分だけ減少しているとも言えます。

 

実際、アベノミクスの量的緩和とゼロ金利政策(一部はマイナス金利)によって、円の価値は2012年以降急激に減少しました(1$辺り77円 → 109円)。

 

ドル円の為替レート(2012~2020年)

 

輸出企業は同じものを安く売れるので有利に働きますが、輸入企業は高く買うことになるので不利になります。また原材料や原油などが高くなることでインフレ圧力になりますが、今の所それほどのインフレが起きていないのは、そもそもがデフレだったこと、需要が増えていないので値上げできない事が背景だと考えられます。

https://jp.reuters.com/article/column-toru-sasaki-idJPKBN2EW02C

 

しかも極めて不思議なことに日銀の政策目標は成長率ではなく、インフレ率が2%(インフレターゲット)です。現在のようにゼロ金利で極めて低い成長率のままインフレ率だけを上昇させるということは、お金の価値を減少させ、国民のお金や給与がどんどん目減りすることを目指しているとも考えられます。

こんなことを目指すのは変な話ですが、利点もあります。政府の債務が目減りすることです。勿論成長したら税収が増えるのでもしそうなればラッキー位には考えているでしょうが、仮に成長が伴わなくてもインフレさえ起こせれば膨大な債務を目減りさせることができるのです。

 

例えば、1,200兆円の債務が毎年2%目減りすれば、それは24兆円もの債務削減に相当します。仮に3%なら36兆円、ほぼ毎年の国債発行額と同じになります。

成長によって税収をそれだけ増やすのは不可能なので、インフレを起こして債務者(政府)の借金を減らし、債権者(国民)のお金を減らすことは債務者(政府)にとっては非常に好都合なことだと考えられます。

 

 今後起きそうなこと 

インフレ率が金融政策だけで操作しきれないことは一度も達成できていないインフレターゲットにおいて既に証明済みです。需要以上の供給には効果がありません。また今後は人口構成がより悪化し、2045年には老人数がピークを迎え、その後も老化率は上昇を続けます。

このため、政府債務が上手いこと目減りするとは考えにくく、今後も国債発行残高が急激に積み上がり、財務省がニッコリしながら増税キャンペーンを続けることでしょう。

当分は焼け石に水の消費税増や社会保障費の微妙なカットで凌ぐのでしょうが、それでいつまでもやり過ごせるとは考えにくい所です。

 

その先に起こりそうな事態としてTochiが想像するのは、

↓ 国債発行残高の急増を理由にした国債のさらなる格付け低下

↓ これによる日本売りの円安と輸入価格高騰によるインフレ

↓ インフレを押さえるための利上げを、、、するでしょうか?

 

むしろこの様な状況下は既に不況下のインフレ、いわゆるスタグフレーション状態だと考えられますので、不況を理由にインフレ率以下の低金利を維持し、政府の借金を減らし国民のお金を減らす絶好の機会として活用するように思えてなりません。よって、

 

↓ インフレを利用し、政府は債務を減らし、国民のお金も減らす

方向に舵を切る可能性が現在の政策を踏まえても十分にあり得るように思えます。何もハイパーインフレである必要はどこにもありません。例えば7%のインフレでも10年で借金は半減します。

 

こうして政府のデフォルトは避けられますとさ 😱 *全て素人の妄想。でも何か当たりそうで怖い・・自分の才能がっ

コメント

  1. でいちゃん より:

    素人の妄想というか、これが事実だと思いますよ
    MMT派(笑)って、頭悪いから
    「金を擦りまくっても日本は破産するわけがない」
    ここで思考が停止してるんですよ

    そんなことは誰でも分かってることで
    問題は、最終的な尻ぬぐいが全て我々国民(弱者)に行くところなんですよね
    FRBも日銀も、インフレになっても構わないと思ってるんですよw
    インフレになったら大量の政府債務が帳消しになるだけです

    前回の記事でコメントに書きましたが
    日本人は、政治と自分とを分離している人間がほとんどなので
    国の借金 は、自分とは別の世界の出来事だと考えてるんでしょうね

    いつの時代だって、政治の失敗ってのは
    最終的に、大多数の国民(弱者)が割を食うことになってるのに
    「日本は破綻しない!だから大丈夫なんだ!」とかお花畑思考(笑)
    そういうのは、いくらでも逃げられる上級国民のセリフなんですよね

    そんなわけで、日本は今日も平和です
    上級国民はどっちに転んでも勝者
    下級国民はどう転んでも敗者
    ただ、それだけのシンプルな世界で今日も僕たちは生きていく

    -完-

    • Tochi より:

      >-完-
      終わっちゃった(笑)

      日本でインフレなんて夢の話のように聞こえますが、戦後には戦費を使いすぎたせいで准ハイパーインフレになったそうですね。1945年が終戦なので数十年前。単にその後数十年が平気だったからといってあり得ないと決めつけるのは危険な発想なのかも知れません。でも喉元過ぎれば何ちゃらとも言うのでそれが人間の性質なのかも知れませんが。

      もしその様な事態が訪れた際には高給取りのサラリーマンであってもかなり厳しい生活を強いられそうですが、特にリタイア者は4%ルールや年金を織り込んで将来の生活設計をしている場合が多いため、当然ここで想定するような高いインフレ率などは想定外、直ぐに生活の危機が訪れてしまいます。
      それ以前に消費税が30%になった段階で詰んでしまうかも知れません。現行10%なので20%の負担増だと国民負担率は70%以上に上昇すると考えられますし、既に日本でもキャピタルゲイン増税が議論されているようですから株式リタイア者に関してはそれ以上の負担増になる可能性すら無いとはいい切れません。
      https://toyokeizai.net/articles/-/442398?page=3

      現状ではそれがいつになるかはわかりませんが、実際にその様な時代になる際、どの様に危機を察知し、そしてどの様に生き残りを図ればいいのか・・。

      教えて下さい(泣)

  2. とおりすがり より:

    国債の目減りだけじゃないですよ。
    インフレすれば年金はマクロ経済スライドで実質的に国の負担額を減らせます。
    ハイパーは困りますが、2%のインフレは政府にはいいこと尽くめでしょう。
    フリーライダーのリタイア者からは消費税増税で回収でしょうね。

    • Tochi より:

      >インフレすれば年金はマクロ経済スライドで実質的に国の負担額を減らせます
      聞いたことはあったのですが初めて調べて見ました。何だか非常にややこしい制度ですねぇ・・。「物価や賃金の上昇率-スライド調整率=年金額」とありますが、物価が上がって賃金が下がるケースでは適用外になったようですので、仰る通り物価上昇のほうが大きい場合やスタグフレーションだと政府が得をしそうな感じですね。
      ちなみに真偽は不明ですが、前回の財政検証では年金は100年以上安定とのこと!これを信じるかどうかはリタイア計画において無視できない問題と言えそうですね。

      >フリーライダーのリタイア者からは消費税増税で回収
      リタイア者からまともに税金を取る手段は現状では消費税くらいしかありませんので、リタイア者が多数を占めるようになりつつある現状ではこの方向に進むのは当然だと思いますが、問題なのは税の徴収と使い方の議論を伴っていないことだと考えています。継続性の乏しい社会保障費をどう削減していくのか、現役世代の負担をどう減らして世代間格差を減少させるのか、法人税とのバランスをどうするのか、そして一番重要な日本の将来の何に投資をするのか?
      こういった議論無く消費税をいつどの程度上げるかしか議論しないというのは単に取れるところから取っているだけ、問題を先送りしているだけなので大問題だと思うのですが、政治も国民も遠い将来のことなんてどうでもいい様でウンザリします。

      昔からお上に従順な日本人でも食べるのに困った時には一揆を起こしたようなので、もしかするとそのレベルまで行けば何かしらのアクションを取ろうという同調圧力が働くのかも知れませんねぇ。ま、手遅れですが・・ (TдT) えーじゃないかぁ~

  3. Eeyore より:

    激しく同意です.
    以前から,政府の破綻とかハイパーインフレとか起きることはなく,起きるとしたら悪性インフレ/スタグフレーションが続いて,国民が疲弊するシナリオだと思っていました.個人ブログで,これを的確に述べていただけたのは,わが意を得たりです.
    個人的には資産の110%がドル建てなので(円建てで住宅ローンがあるから),この悲観シナリオになっても乗り切れると考えていますが,政府は苦しくなれば金融資産課税とかやりそうで心配です.
    本当は「こういう悲観シナリオにならないように,~な方向にみんなで頑張りましょう」という楽観シナリオがあれば良いのですが,日本の将来は,たぶんあり得ない破綻シナリオやハイパーインフレシナリオか,このような悲観シナリオしか聞いたことがなく,とても残念です.
    「そんな他力本源でなく自分で楽観シナリオを考えろ」と言われてしまいそうですが,米国株投資で個人資産を守ることで精一杯で,国の先行きを考えるなんて一般庶民には手に余りますよね.
    自分が生まれて生きてきた国が徐々に衰退するのを見るのはとても悲しいです,なんとかならないのですかね.

    • Tochi より:

      >政府は苦しくなれば金融資産課税とかやりそうで心配です
      H27年から有価証券等の資産が1億円以上のヒトが海外移住をする際には含み益に税金を課すようになりましたし(国外転出時課税制度)、CFD等のデリバティブ取引の含み益(時価評価課税)やキャピタルゲイン増税に関してもタイミングを図っているという話なので着々と進行中とも言えそうですね。iDeCoの1.173%の特別法人税なんて凍結しているだけなのでいざとなったら真っ先に狙われるのかも知れません。

      >この悲観シナリオになっても乗り切れる
      やはり最悪のケースでも乗り切れるように個人で何らかの対策をする必要がある時代になりつつあるのでしょうね。

      >自分が生まれて生きてきた国が徐々に衰退するのを見るのはとても悲しいです
      強く共感致します。
      経済的な観点からは人口減少が一番危機的なことに思えますが、より長い目で見れば景気サイクルのように人口はある程度を堺に増えては減ってを繰り返すのではないかと考えられます。増えるサイクルに入れば少子高齢化も改善するので、その意味では今の日本はたまたまどの先進国よりも早く増えるサイクルに備えるための減るサイクルの段階に入っただけという見方もできます。数世代はかなり厳しい状況になるかもしれませんが、歴史的に見れば単に不運な時代の一つに過ぎなかったと未来人の学校では習うのかも?
      とは言え江戸時代くらい程度まで人口減少が進むと推測されているようなので他国に占領されずに日本が存続できればの話になりますが・・。

      >楽観シナリオがあれば良いですが
      財政問題に関しては社会保障制度を政府に任せておくことを辞めるか、保険料の範囲に留めてしまえば済む話なので、カリスマ性があって老人世代を説得(騙す?)できる政治家が現れればいつかの段階で案外あっさりと解決する可能性もある様に思えます。その場合、今の現役世代が沢山払ったのに貰えない一番アンラッキーな世代になるかもですが。
      また、幸福量保存の法則ではないにしても、幸不幸は必ずしもお金の多寡には依らないということはよく言われる事ですし、様々な困難な状況の中でどうにかこうにかして生き延びてきたからこそ数十億年も人類が存続して今に至っていることを踏まえれば、できる限りの対処はしつつも、なんくるないさーと楽観的に考えておく方がより現実的なのかも知れません。

      もしくは、相場的に捉えれば総悲観の時こそが買いのチャンスと捉えることもできます。エミンユルマズさん曰く、日経平均は令和時代に30万円に到達するとの予想だそうです。根拠としては米中対立激化によりシンガポールなどの地理学的リスクの高い国ではなく、日本がアジアの金融ハブになるからとのことでしたので、万が一にもそうなってくれれば嬉しい所です(さて、S&P500でも買い増すか・・)。