米株のインデックスを買いたいけれどなかなか押目が来ません。新型コロナウイルスも数日で戻してしまい大して下げませんでした(これから来るかもだけど)。
そんな時に何気なく見ていて気になったのがVIX(Volatility Index、恐怖指数)です。
VIXの値動き
ボラティリティーと聞くと単純に値動きの激しさを示しているような印象を持ちますが、実際にS&P500の値動きと比べてみるとそう単純なものではなさそうです。
TradingView、VIX(ロウソク足)、S&P500(紫ライン)、日足、2018年~
VIXは単純に値動きの大きさに比例して増える数値ではなく、下落時に大きくなる指標です。順調にS&Pが上昇していると低下して最近では12位で落ち着き、S&Pが急落すると30や40を上回ってきます。さらに、
・株価の調整局面で月に1回程度急上昇する
・殆どの場合、急上昇は長続きしない(数日~1週間程度)でかなり戻す
・安値は10前後、最近では12前後
・サブプライム時で最大90弱、この際40以上が3ヶ月位続いた
・変動が非常に激しい
などの特徴があります。見様によっては、急上昇した時に含み損を我慢して売っていれば簡単に儲かりそうだし、底値付近で買って待っていれば長くても数ヶ月で大きな利益になりそうなものです。現物で何倍も価格が変動するので、CFDでレバレッジを掛けて取引をしたら大変な事になりそう(特に売りの場合)ですが、そこは底値で買って資金管理をしっかりやれば大儲けできるのでは、、、?ドキドキ。
手数料と頻繁な価格調整のワナ
現在価格は15ドル前後ですが、スプレッドが0.05ドル(0.33%程度、証券会社による)と少々高めです。まあこれは変動が大きいので仕方ないところかも知れません。
難解なのが毎月ある「価格調整(限月の切替)」です。過去の価格調整はどのようなものか調べてみました。
VIXの価格調整におけるレートの変化(ドル)
殆どの場合、価格はプラスに調整されるようです。例えば1月が15ドルなら2月から16ドルといった感じ。過去42回分の平均では毎月+0.68ドル。
わかりにくいので例えば1月に12ドルでロング(買い)ポジを持ったとします。その後、VIXレートが15ドルになったら+3ドルの評価益です。このまま長期間持ち続けたらどうなるでしょうか?例えば20ヶ月。価格調整の影響を見たいので日々のVIXレートには変動がない場合を見てみます。
価格調整と実質ロングポジションの変動
2月の価格調整で+0.68ドルの価格調整がなされ、VIXは15.68ドルになります。12ドルのポジションと0.68ドル上昇したVIXレートの差が増える分、含み損が0.68ドル付与されて評価損益は一定のままになります。この場合、実質のポジション(含み損を0とした場合)は0.68ドル高い12.68ドルと考えられます(肌色の列)。
20ヶ月後も一緒で、レートはどんどん上昇し(灰色の列)、実質のポジションも同様に高くなります(肌色の列)。よって日々のレート変動がなければ価格調整は無視していいわけです。
問題は、実際のレートは価格調整でどんどん上昇することはなく、大体一定に落ち着いているという点です。これはつまりVIXレートは価格調整で値上がりした分、毎月平均で0.68ドル下落する値動きをすることを意味します。よって、長期間保有する場合はロングだと下落圧力で大損してしまう可能性が非常に高いということです。逆にショートであれは長期間保つと有利に働きます。
レバレッジと証拠金と損益は?
どの程度危険な金融商品なのかを調べるために実際に買ってレート変動で損切りや利確をした場合を考えてみます。
取引単位10単位、レバレッジ5倍で計算します。
VIXレートが15ドルで100単位(10Lot)ロングをすると1,500ドルの購入で、300ドルの証拠金が必要になります。手数料は5ドル。
・8ドルまで下がって損切り(決済)すると700ドルの損失
・20ドルまで上がって利確(決済)すると500ドルの利益
例えば2回の価格調整後に同様の決済をすると、平均の価格調整額(0.68ドル)だった場合で、
・8ドルまで下がって損切り(決済)すると836ドルの損失
・20ドルまで上がって利確(決済)すると364ドルの利益
の様に損失は膨らみ、利益は少なくなります。
だったら売りから入りたいところですが、底値は大体決まっているのに対し天井は非常に高いので、余程資金的余裕がない場合は相当なリスクを負うことになります。底で買う場合でもレバレッジは1倍以下にしておかないと簡単に逝ってしまいそうです。
念の為、売りの場合も見てみます。
VIXレートが20ドルで100単位(10Lot)ショートをすると2,000ドルの売却で、400ドルの証拠金が必要になります。手数料は5ドル。
・15ドルまで下がって利確(決済)すると500ドルの利益
・40ドルまで上がって損切り(決済)すると2,000ドルの損失
・80ドルまで上がって損切り(決済)すると6,000ドルの損失
粘りに粘り、例えば10回の価格調整後に同様の決済をすると、平均の価格調整額(0.68ドル)だった場合で、
・15ドルまで下がって利確(決済)すると1,180ドルの利益
・40ドルまで上がって損切り(決済)すると1,320ドルの損失
・80ドルまで上がって損切り(決済)すると5,320ドルの損失
の様に損失は減少し、利益が増えます。滅多にVIXが40$とかの高値にならないのがたまに傷ですが、十分な資金さえあれば長期戦も覚悟して高値で売る戦略のほうが値幅が大きく、下落圧力も働くことから利益を得られ易いかも知れません。
な、何て面白そうな商品なんだ (*´Д`)!
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